我が家の家族写真は、一生懸命育児に向き合うお守り
2人目妊娠中、家族3人写真を残したくて
長男が1歳6か月の頃2人目の妊娠がわかりました。その頃私は仕事をしながら長男を保育園に預ける暮らしをしており、夫も仕事で忙しくしていたので長男とべったりと過ごせる時間がなくて自己嫌悪で過ごす毎日でした。毎朝保育園へ長男を自転車で送る度に、自転車をこぎながら「まだ1歳の子を自分の側に置かずにいいのだろうか」と自問自答の日々が続いていました。更に長男は発熱しやすく、私も罵倒を繰り返す日々にプラスして仕事をしょっちゅう休まなければならない現状に参っていました。そんな時の2人目妊娠発覚で私は仕事を辞め、長男も保育園を退園しお腹の子と長男としっかりと向き合える時間を作ることが出来ました。
安定期に入り私はだんだんと、長男と夫と私と3人での暮らしが終わってしまうのかと思うと寂しさを感じるようになっていき、この3人の時間を綺麗な写真に残したいと思うようになりました。そこで様々な写真館を調べましたが、室内できっちりとしたイメージで撮る写真にするか、外での家族の様子をとることが出来る野外でロケーションの撮影にするか迷いました。色々調べた結果、妊娠していることもありマタニティフォトも取れて、3人で着物を着て写真を撮れたら素敵だなと考え、着物でロケーション撮影できる写真館を探し出しました。実は私は長男を産む前から、2人目が出来たら上の子と一緒にマタニティフォトを撮ることに憧れがありました。何年か前に、一緒に勤務していた主婦の方が上の子が大きくなったお腹を撫でてくれる写真を撮ったらすごく良かった!と聞いたことがあったからです。それなので長男の時はマタニティフォトを撮らず、2人目で撮りたいというのは何年も前から自分の中で決めていたことでした。
探してみるととてもたくさんの写真館で迷いましたが妊婦ということもあり、マタニティで着物写真を撮影できる写真館は限られていたので写真館を選ぶことが出来、ネットで撮影の予約をいれました。その後はどんなふうに撮ってもらおうか、マタニティっぽい写真もたくさん撮ってもらいたいな、3人で楽しい様子を残せたらな、と撮影日がとても楽しみでずっとワクワクが止まりませんでした。
着物でマタニティフォト
撮影当日、3人ともに体調は万全で心配していた天気も良好、これ以上に無い良い条件でいざ撮影に向かいます。車で写真館まで向かい、到着後は色々な書類にサインをし、どんなポーズやどんな雰囲気の写真を撮りたいか等カメラマンさんと話し合い、私はマタニティっぽい写真と和やかな家族3人の写真が撮りたいと希望を言いました。
着物を決める際、長男の着物は私が一目ぼれしたものをすぐに決められましたが、私と夫は素敵な着物の種類が多すぎてなかなか決めるのに時間がかかりました。着物を決め、次は髪と化粧のセットです。2歳間近の長男はじっとすることが出来ず写真館の様々なものに興味を持ち始め、YouTubeのお気に入り乗り物動画でどうにか気を散らしながら長男の着付けは完了。夫と私のセットも完了し、1時間のロケーションフォトが始まりました。
あれ?理想のマタニティフォトが撮れない
綺麗な場所でたくさんの写真を撮ってもらいます。夫が長男を抱っこして、私が隣へくっついて撮る写真や、長男が走っていく様子を、私と夫が笑いながら見ている写真。カメラマンさんがシャボン玉なども用意して頂いていた為、シャボン玉とともに移る綺麗な顔の長男と楽しそうな表情の夫と私。とても素敵で楽しい時間が流れていきました。
しかし2歳間近の長男は写真を撮るのに飽きてきて、だんだんと機嫌も悪くなっていき「抱っこ!抱っこ!」とぐずり始めてきました。そこでふと1時間も持たないかもしれないからマタニティっぽい写真を先に撮っておきたいなと思い始めました。カメラマンさんはとても一生懸命で長男を交えた楽しい写真を撮ってくれています。なかなかこっちの思いを伝えられるタイミングが見つかりません。悶々としながらも伝えられないまま時間は過ぎていき、そしてついに長男の悪い機嫌も限界に達した頃「ピピピピー」とアラームが鳴りました。なんと1時間経過したのです。あれ?マタニティフォト撮ったっけ?
カメラマンさんは「ありがとうございましたー!着物はこの辺楽しんでから帰り際でお店に返していただいたら良いので!」とあっという間に去っていきました。私は「写真撮る前にマタニティっぽい写真撮りたいって伝えていたのに…今だけのマタニティフォトが撮れなかった…何年も前からマタニティフォトに憧れがあったのに」と悲しい気持ちになりました。途中の撮影の時間はとても楽しかったのに終わった後は、撮影途中にもマタニティっぽい写真を撮ってくださいってもう一度言えばよかった、と後悔だけが残ってしまいました。写真が出来上がった後に見ても、「今日の写真を見直しても嫌な記憶が思い出されてしまいそう…」となんだかその後のことも考えて億劫になりました。
次男が生まれた後にマタニティフォトを見て思う事
春に無事次男が生まれ、3人の時間が惜しいと思っていた気持ちはあっという間にかき消され程忙しく大変で、次男はすぐに私たち家族になじみました。長男も最初は次男をなかなか受け入れることが出来ず、やきもちと意地悪のオンパレードでしたが、今では一緒に遊んでくれるほど可愛がってくれるようになりました。私が3人の時間をもっと長く過ごしていたいと思ったのは本当に短い期間でした。その期間に綺麗な景色とともに3人での写真が撮れたことは今となっては本当によかったなと思います。(マタニティフォトは悔しかったので家にてセルフで撮りました。笑)出来上がった着物ロケーション写真を見ると、シャボン玉で楽しく遊ぶ長男の姿、夫が長男を抱っこして私がその様子を微笑みながら見ている姿、機嫌がいいと思っていた撮影開始間際なのに全く笑っていない長男の写真等、本当にたくさんの写真が出来上がっていました。2人目が生まれるのはもう少し先で良かったかもしれない、もう少し3人での時間を長く過ごしていたい、もっと長男と関わる時間を増やせたほうが良かったのかもしれない、もっと、もっと…とこの写真を見ると育児に悩み長男にとって最善の選択を常に探していたあの時の気持ちを思い出して複雑な気持ちになります。
その複雑な気持ちは悪いものではなくて、一生懸命育児に向き合うためには私にはとても必要な気持ちです。
リビングの壁掛け時計の横に飾った家族写真
初めての子供で初めての育児で私のことも夫のことも親にしてくれ、初めてづくしを
たっぷりくれた長男への思いはやはり特別で、特に言葉が話せない2歳くらいまでの期間は特別な思いがたくさんあります。赤ちゃんの頃や特別な思い等を忘れそうになる度に、振り返ったり思い出したりしないと、成長が著しく反抗もするようになってくる子供に対し余裕をもって接することが出来ません。この写真は長男に対しイライラして「かわいくない!」と思ってしまう私を、愛情をもって接することが出来るように導いてくれる大切な役割を果たしてくれています。私にとって長男も次男も可愛くて同じくらい愛しくて2人とも宝ものだと胸を張って言えます。しかし2人は違う人間なのでひとくくりにまとめて同じような繰り返しにはなりません。過ぎていく時間も、考える気持ちも悩み方も違います。その過程を写真とともに気持ちも残していくと私は2人と接したそれぞれの時間をとても大切にとっておけるので、私はそんな気持ちの写真はリビングのいつでも見える場所に飾って、いつでも思い出せるようにしています。